大阪教文センターだより145号 提言の要約と補足

大阪教育文化センターだより145号(2020年6月9日)より抜粋

提言の要約と補足

 6月の学校再開に伴い,大阪では42日間の夏休みを10日間に縮減,文科省の通知に反してあくまで授業の標準時数確保にこだわった通知を出しています。
 ここでは,あらためて各学校での教育課程づくりへの参考となればと思い,大阪教文センターが出した4つの提言内容の要約(箇条書き)と若干の補足を行いたいと思います。なお,くわしい文面や授業計画等の資料については直接HPをご覧ください。また,提言に関して寄せられた感想も一部付記しておきます。

【提言】学校再開に向けた,今だかつてないとりくみを
―子どもたちにとって大事なことを絞り込んで,教育内容の大胆な削減を―(4月27日)

子どもにとって何が必要か,
学習指導要領に子どもを合わせない 単純に行事を削減しない
※神戸新聞社説(6月1日)には『忘れてはならないのは、子どもの心のケアである。現場からは「阪神・淡路大震災当時の状況に似ている」との声が上がっている』とありました。ならば,それぞれの学校での子どもの実態を鋭く見つめていく必要があります。

①学校再開へは子どもとの出会いを大切に,子どもをまるごと受けとめよう
子どもはこの間,どんな思いで過ごしてきたのかを想像し,「よく来たね」と子どもをまるごと受けとめたい。

②今こそ教育の専門家としての教師の力の発揮を
教師はいつも子どものことを考えて教育活動を計画している
・子どもに心を寄せ,あたたかいまなざしで子どものケアを
 不安の中でも子どもたちは頑張っている。学校再開後はあたたかいまなざしで

・教科学習では大胆に単元を削減し,子どもの学習負担を軽減する。次の学年に「持ち越し」の単元も視野に入れる。
 「年間計画」とまでいかなくても,「最低限これだけは教える」という単元を3〜5に絞り込み,優先順位をつけて授業をする。積み残した単元は削減するか,次年度以降の「持ち越し」に。時間をかけてじっくりと授業をすることで『主体的に深く」学ぶことができます。

 また「密」とされる水泳の授業でも,人員を確保しながら小学校は1クラス,中高は男女別に授業する(他方は体育館)などの工夫も考えられるのではないでしょうか。

・教科外活動では安易に行事の削減はおこなわない。行事等は「総合」に位置づける。学年会や教科部会,生徒指導部会,児童会・生徒会担当者会議で縦と横の繋がりをつくってすすめる。
 学習指導要領通りでは子どもも教師もパンク
 子どもたちは,教科学習のみで成長するのではありません。

③具体的なとりくみ
高校入試・大学入試の出題範囲の削減
年間計画なら,9月再開(23週)を想定した計画で標準時数の66%を確保。
※くわしくはそれぞれの授業計画を参照。

④父母・保護者の理解と合意を
⑤教職員の合意づくりを
⑥今こそ,校長のリーダーシップ発揮を
⑦いわゆる「ネット授業」について
 授業は教師と子どもたちとの双方向・対話的関係でつくりあげるもの
⑧大切なのは,子どもを全力で受けとめること

■提言の内容はコチラ■

【追加提言】休校中の登校日の対応と学習課題について(5月13日)

①登校日は子どもたちとの最初の出会いであり,子どもの様子を見るチャンス。新しい先生は,自己紹介からたのしく,交換日記などで伝えあい。
久しぶりの登校だからこそ,子どもの気持ちを思いやり,向き合う。そのことを職員室で語り合えば,課題も見えてくる。
②休校中の学習課題。家庭学習は教育の専門家としての判断で。課題は前学年の復習を中心に(前学年で扱った教材の音読や漢字復習も)。通信を通して子どもや保護者へのメッセージとともに課題を。
※以下,COVID-19関連動画と資料,算数・数学プリントはHPで。

■追加提言の内容はコチラ■

【追加提言2】「オンライン授業」について
授業−教師と子どもの息づかいが感じられる空間だからこそ(5月18日)

授業は対話的・応答的関係で行われる「生きもの」。
「オンライン授業」の問題点=「オンライン授業」万能論は危険。双方向的な学びは困難。
子どもたちは中断として学び合う。
(例)授業「ごんぎつね」(4年)から考える。
教室は子どもたちと教師がつくりあげる,そこにしかない文化的空間。
授業=子どもの可能性を引き出し発展させる過程
授業の中でこそ発揮される教師の専門性

■追加提言2の内容はコチラ■

【追加提言3】小学6年 中学3年の教育課程について(5月26日)

①文科省は,「指導内容を複数学年にわたって教育課程を編成」といっている
小6,中3の除外はあり得ない。
②教育課程の編成を行うのは学校
 小中連携をふまえて「持ち越すことも」
 高校入試・大学入試等へは出題範囲の削減を

■追加提言3の内容はコチラ■

【追加補足】文科省の「学びの保障」対策

大阪教育文化センターだより145号の発行後,6月5日文科省から「学校の授業における学習活動の重点化に係わる留意事項等について」等の通知が発表されました。また,『「学びの保障」総合対策パッケージ』も公表しました。以下の部分で,それぞれの学校の実情と比較しながら,文科省から発表されたものを素直にみてみましょう。

きれいに見るのはコチラ(PDF)

■文部科学省『「学びの保障」総合対策パッケージ』■(令和2年6月5日)p5より

上の中学3年生の例からわかることは,
①夏休みが8月1日〜23日の23日間
②2学期からは,週2回の7時間授業と月1回の土曜授業(午前)
③限定的ではあるものの,運動会・修学旅行・文化祭・校外学習がある(学校行事等も含めた学校教育ならではの学びを大切にしながら教育活動を展開)
④脚注には標準時数を「下回っても,そのことのみで法令違反とはならない」とあり,また最終学年以外は「特例的に次年度以降を見通した教育課程編成を可能」(積み残し可能)とある
⑤これらは,「実際には,地域の感染状況や児童生徒や学校の実情に応じて各自治体及び学校で判断」とある。学習指導要領には,教育課程の編成は学校にあることが記述されている。
いろいろと問題のある通知ですが,以下の内容も含めて使える部分は使って,それぞれの学校で当面の教育課程の編成を考えてみませんか。

【注】以下の一般社団法人教科書協会のサイトには、「新型コロナウイルス感染症対策による学校の臨時休業への対応」として
[1]前年度3学期相当の学習内容への対応
[2]新年度4月以降の学習内容の指導への対応
があり,各教科とも標準授業時数の6〜7割程度で年間授業計画が記載されています。

■教科書を十分に活用した補充のための授業等のための資料のリンク集(一般社団法人教科書協会)■(文科省HPより)

■学習活動の重点化等に資する年間指導計画参考資料■(教科書協会)

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