第34回共同研究集会
「世界の新たな動きと子どもが輝く教育実践」
〜UNESCOの新「教育勧告」と「憲法を生かす教育」を結ぶ〜
【よびかけ】
いま世界は,地球の限界を超えた環境破壊による気候崩壊の危機や戦争拡大の危機,格差と貧困の拡大の危機など,人類的危機に直面しています。
これに対して,ユネスコが「教育の未来」世界報告書(2021年)を発表して「新たな教育変革と人類的共同のとりくみ」を提起しました。
その後世界的な協議を通じて,194加盟国が全会一致で採択したのが新たな「教育勧告」(「平和,人権,持続可能な発展のための教育に関する勧告」2023年11月20日)です。
その内容は,危機を引き起こした根源である新自由主義と,真正面から対抗する人類的共同を求める内容となっており,「憲法を生かす教育」と結んでいけば,現在の日本の新自由主義教育政策を転換させていく上でも,大きな力となります。
第34回共同研究集会では,ユネスコの新たな「教育勧告」,「教育の未来」世界報告書と「憲法を生かす教育」を結び,具体的な実践報告も交えて教育研究を深め合い,教育の新たな前進に向けて語りあいましょう。
と き 3月20日(水・祝)13時半
ところ 大阪府教育会館 3Fローズ
■基調報告(13時40分)
世界の新たな流れと結んで,「憲法を生かす教育」を前進させよう
—個人の尊厳に基づく,自立と人間的共同性を育む—
田中康寛(大阪教文センター事務局次長)
■実践報告(14時10分)
1「気候変動問題を考える」世界との出会いと共同の学び (高校)
2ジェンダー問題を学び,人間関係を広げ,自立し始めた生徒たち (高校)
3子どもの声で学級をつくる!(小学校)
4図工大好き,子どもの表現が生まれる教室(小学校)
■討論とまとめ(16時半終了)
■感想■
報告することで頭の整理ができた
●9年間の義務教育の中で傷つき,学校・人間不信に陥っている生徒を高校で受けとめ,学び直しをしている側面があります。小学校であんなに素晴らしい取り組みをされている先生がいらっしゃることを知れて,失礼ですが,安心しました。小学校の図工の実践報告の中で,「子どもは手作業が発達要求となっている」という言葉にはとても納得しました。高校生でも,授業中ノートを1ページもとらず,ケータイを触ったり化粧が止められない人がいます。しかし,文化祭での作業で模造紙に書くという作業になると,寝転びながらも2枚書き上げた生徒がいました。ICTがスウェーデンでもどんどん縮小されているという話も大変興味深かったです。私にも中学生の娘がいますが,なかなか大変な様子です。今日は貴重なお話が聞けてよかったです。ありがとうございました。私も報告させてもらうことで,頭の整理ができました。ありがとうございました。
教師は専門職!
●教師とは専門職であることを改めて考えさせられる集会でした。自分のやっていること,考えていることに自信を持ち,実践していきたいと思いました。そのために時間と余裕を!! あと給料も!!
元気が出た
●ユネスコの教育勧告を学習できる貴重な機会をいただきました。また,教育実践を知ることもでき,大変な小学校の実態も知れて,よい時間でした。元気が出ました。呼んでいただき,ありがとうございました。
世界的危機に立ち向かうためには
●今日は,パネリストとして参加させていただきました。気候変動のこと,ユネスコの「教育の未来」世界報告書と「教育勧告」のこと,知らなかったことをたくさん知れました。この世界的な危機に立ち向かうためには,私たちがこれまで大切にしてきた実践を続けていくことが,大切だと改めて思いました。
確かな手応えが
●それぞれの先生方が,技術や知識を教えることだけでなく,子どもたちの思いや考えを尊重した学びを実践されており,とても力を頂けたと感じています。時間や上からの圧力など,制約がある中でも,子どもの思いを大切にしていくことの大切さ,子どもから返ってくるものの確かな手応えが,この集会で明らかになったのではと感じました。前に立ってくださった四人の方の思いをさらに広められるように,私も頑張っていけたらと思っています。ありがとうございました。
実践を聞いて学んで,心も体も元気に
●今日のお話を聞いて,授業も学校生活も管理してそろえたい人たち(教員の中にもたくさんいる)と,子ども主体で自由に授業や学校をつくっていきたい人たち(自分もそうでありたい)とのせめぎ合いがずっと続いている,いまの学校のことを思いました。そして,そのせめぎ合いに本当に疲弊し,管理とスタンダードに押され続けている,自分も学校もすり減っているようなことも思いました。でも,こういった場に来て,子どもがいきいきとしている豊かな実践を聞くことで,学んで心も体も元気にして,あきらめずに自分もただしいと思えたことを信じて,やっていけます。もっともっとたくさんの人たちに,今日のような実践を知らせたいです。
未来の子どもたちのための教育を想像できるのは,教職員
●いまの政府の教育施策,それに大きく影響されていて,学習指導要領は,「今」や「直近」という近視感的な社会観のまま,「今の社会構造の中にどう組み込める人材を育てるか」というものに成っていると感じている。そうではなく,子どもたちを「10年後,20年後の社会を新しく創っていく主体者」として育てていく観点から,貴重提案と4つの実践報告をつないでいくことができるのではないかと思う。そして,10年後,20年後の子どもたちのための教育を想像できるのは,やはり目の前の子どもたちに直接教育をおこなう教職員だと思う。
実践報告に感銘
■共同研究集会には初めて参加しました。基調提案はスケールが大きく,刺激的なものですが,十分消化できていないので,改めてきちんと読んで学びたいと思います。方向性はまちがっていないと思いますが,現場でどう具体化し,実践していくかは,集団的な議論が必要ですね。4名の方の実践報告は,どれもすばらしいものばかりで感銘を受けました。退職して丸一年,今後地元で教文センターの活動を細々ですが,すすめていけたらなと思っています。私の2024年度のテーマは,授業づくり,学級(集団)づくりにしたいと思っていますので,本日の報告を大いに参考にさせていただきたいと思います。今日は,ありがとうございました。
地球的課題の解決に向けて,教育はどう立ち向かうかが示された
■「教育の未来」世界報告書と新たな「教育勧告」の話は,人類が直面する様々な地球的課題の解決に向けて,教育はどう立ち向かうかについて示された,包括的な指針であることがわかりました。個人の尊厳と平和と人権,環境を大切にすること,教育と子どもを歪める新自由主義教育政策や競争と管理の評価を拒絶することの意義が理論化されていると思いました。この指針に基づいて世界中の教育者が実践することが求められていると思いました。後半の4人の方の実践報告はどれも感動的なものでした。ありがとうございました。
「学級の声を大切にしてくれてありがとう」
■感動的で,多くの気づきを与えてもらった研究集会でした。ありがとうございました。小学校の報告に,特に6人の子らに「学級の声を大切にしてくれてありがとう」の声は,すばらしいと感じました。
個人の尊厳を大事にした教育がここにある!!
■「ユネスコの新たな動き」すごい学びとなりました。
「個人の尊厳と人間的共同性」新しいキーワードにしたい!!それぞれに,子どもたち,生徒たちが輝く瞬間を大切にした授業実践や集団づくり,社会的課題の学びの実践を知り,ブラックな現場でがんばっている現場の先生たちに,心から拍手を送りたい。まさに,個人の尊厳を大事にした教育がここにある!!と実感しました。ありがとうございました。最後,大阪教育文化センターの存在,すごいです!!