2023年度 各研究会のとりくみ

●ジェンダー平等教育研究会
・法的な分野で「LBGT理解増進法」、刑法の「性犯罪規定の改正」で不同意性交等罪の創設などが成立した。
・また、同性婚 夫婦別姓などに関連して「法」に訴えての裁判。
・ジェンダーやフェミニズムに関する研究への攻撃への裁判とおかしいことに目をつむったり黙るのでなく行動を起こすことが多くあった。
・ジャニーズ事務所で起こった性被害について多くの関係者が声をあげたことを発端に芸能界で起こっている性被害について声を上げる人たちが増えた。そんな1年であった。
・そんな中で、研究会では、上記の問題を話し合ったり、性教育などが課程や教科書にもない中で、様々な時間に、性やジェンダーに関連するテーマでの実践の報告。小学校教科書採択の時期でもあったので各社の保健体育の教科書の性やジェンダーの問題の扱いについて報告をうけた。
・人権に関する法律や様々な事象に対する世界と日本の運動をまとめた年表を作成しその歴史をあらためて確認した。
・人権教育の名のもと大阪で起こっている「部落問題」「同和教育」の実態。教育委員会等では解消されたと言われていても、現場ではまだまだ児童・生徒・教職員に部落問題学習がなされている。状況が解消されている現実を知る学習会や「差別の窓口」から見るような人権絵本についての感想意見をだすことに参加した。
・職場教職員の気持ちにそった自主的研修会の取り組み(府立高校)の報告を受けた。色々起こる生徒の問題、自分たちの働き方など多岐にわたり学習交流を自主的に進めた研修会は、職場づくりと教職員の実践を励ますものになっていることがあらためて確信になった。このことはすでに2つの私立高校での自主研究会でも立証されている。
・月1回でも継続することで学びは深まっているが、参加者を広げられないという課題が残っている。
・次年度は包括的性教育の実践やジェンダー平等に関連する課題で交流を広げることとあわせて、参加者を組織することに向けて研究会の持ち方など工夫していくことが必要と話し合っている。

●学校統廃合・小中一貫教育研究会
2023年度の活動の報告   文責 石原
<2023年度 研究会の取り組み>
【定例研究会】 3/25(6名参加)5/6(8名)7/8(6名)8/13(10名)9/16(8名)
10/21(10名)11/12(8名)12/16(8名)2024年1/27(13名)2/12(8名)
【学校統廃合・小中一貫教育大阪交流集会】6/18たかつガーデン約20名参加
【学校統廃合・小中一貫教育全国交流集会in東京】3/3(4名現地)他オンライン参加

◆研究会の報告内容の概要
◎岸和田市の幼保統廃合、小中一貫・学校統廃合の動きと教職員組合・天神山小中学校考える会の取り組みについて毎回の例会で報告いただいた。天神山地域の退職教職員が中心となった住民の会は小中一貫教育のデメリットや行政の計画の矛盾、質問状への市の回答などをニュースにして地域配布を続けている。粘り強い取り組みによって市長が計画の見直しを表明するなど世論を動かしている。
◎交野市の小中一貫・学校統廃合の動きと市民組織「交野ネットワーク」の取り組みを毎回の例会で報告いただいた。2022年4月に2小学校が統合し新校がスタート。同年9月の市長選挙で当選した山本市長は「小・中別々に整備(一体型一貫校計画中止)」を公約して市長に当選したが、推進派の巻き返しにより市長の態度が後退し、小中一貫校建設は止められなかったが小学校低学年で30人以下学級の市独自少人数学級や給食費無償化など、市民の教育要求を実現する施策が前進する成果を勝ち取った。
◎池田市の義務教育学校の様子などを報告いただいた。
◎豊中市の小中一貫・学校統廃合の動きと教職員組合の取り組みを報告いただいた。市全体の小中一貫教育・学校統廃合(義務教育学校2校)計画の下、2023年4月に庄内地域に大規模な義務教育学校「さくら学園」が開校。保護者やPTA関係者、教職員らによってその実態を明らかにし、より良い教育を求める学習会に取り組んでいる。
◎箕面市の施設一体型小中一貫校に勤務経験のある先生より、1500人超の大規模な施設一体型一貫校の保健室の実態や子どもの様子について報告いただきました。新しい環境になじめず不安定になる小学校低学年の子どもたちで保健室が混雑し、養護教諭の手が取られる中、中学生が保健室に来ても後回しになり、不満を持つ様子が報告されました。
◎守口市の2校目の義務教育学校設置に向けた市の動きと市民団体・教職員組合の取り組みについて報告していただきました。
◎兵庫県の市の学校統廃合と小中一貫教育の現状、それに対する組合の取り組みや学校現場の工夫などが報告されました。
◎奈良県香芝市の学校統廃合の動きと住民の会のとりくみについて報告いただきました。
◎奈良県生駒市の施設一体型一貫校建設の動きとそれに反対する住民の会の学習会、全戸チラシ配布、請願署名活動、要望書の提出と市当局との懇談など、多彩な取り組みの様子が報告されました。
◎学校統廃合・小中一貫教育大阪交流集会(6/18)では、奈良女子大学の中山徹氏を招き、少子化の今こそ政府や地方自治体は学校を地域に残し、小学校を中心とした日常生活圏を基礎単位とした街づくりをすすめ、少人数学級を実現すべきであることを学びました。また、地域からの報告として、豊中市の学校統廃合・再編計画について、岸和田の取り組みについて、府高教から文書で高校統廃合の実態を報告していただきました。

◆研究会の成果と課題
◎例会を中心に府下各地の小中一貫教育・学校統廃合の動きとそれに対抗する住民・保護者・教職員の取り組みを報告していただき、研究会として把握することができた。また、各地の反対の取り組みについて議論することで地域の取り組みを援助することができた。
◎豊中市「さくら学園」や箕面市「彩都の丘学園」などの施設一体型小中一貫校の教育について保護者や教職員の協力を得て知ることができた。
◎大阪府下の多くの自治体はじめ、近畿を中心に大阪府外の各地から多数の講師依頼があり、講師を派遣を通して各地の運動に貢献できた。
◎各地でプール指導の民営化、プールを建設しない動きが広がっている。教育予算削減がねらい
◎行政による小中一貫教育・学校統廃合推進の説明として教育論が鳴りを潜め経済効率性や新学習指導要領に適した学校づくり、コミュニティスクールなどの理由が目立つ
◎現職教員の参加が少なく退職者中心になっている点を改善する必要がある。
◎研究のすすめ方について各地からの報告以外に系統的に研究をすすめる必要がある。今後、Google Scholarに上がっている学校統廃合や小中一貫教育、義務教育学校、中高一貫校などをテーマとした研究論文を取り上げ、理論的な研究を重視したい。
◎大阪教文センターHPに掲載している『これでいいのか学校統廃合・小中一貫教育Q&A』について、情勢に見合った内容の修正など、改訂作業をすすめる。