退職教職員の会が府教委に「チャレンジテスト」の一旦中止、再検討を要望

大阪府教育委員会
教育長 向井正博 様

2017年1月31日
大阪退職教職員の会 会長 林 正敏

  大阪府中学生「チャレンジテスト」等にかかわる要望書

前略

 大阪府では、行政調査として、中学生「チャレンジテスト」を実施(3年生は、2年生であった昨年1月13日と6月23日、1・2年生は今年1月12日実施)、この結果を今年度の高校入試の内申書・評定に反映するとしています。

 しかし、このチャレンジテストは大きな問題をはらんでいます。不公平な高校入試になることはもちろんのこと、過剰な「テスト漬け・テスト対策」教育、「競争教育」のいっそうの激化をはじめ、中学校のランクづけなど、今の中学校教育に「混乱」をもたらし、子どもと教育をさらに「困難」にする内容といわざるを得ません。

 現に、1月12日実施の1・2年生対象のチャレンジテストでは、多くの生徒が「自主欠席」する学校がでるなど、様々な問題・課題が噴出し始めています。また、ここ数年の府内における子どもの実態として、「過度の競争教育」「子どもの貧困」含めた「格差の拡大」などを背景に、校内での「暴力事件」や「不登校」は、全国平均を大きく上回っています。

 こうした状況下、かつて大阪の子どもと教育に携わったものとして、今回の事態は黙過できないとの思いから、元管理職経験者16名の呼びかけで、昨年12月にチャレンジテストの中止と再検討を求める元管理職経験者のアピール活動が行われました。現時点で、府下の元管理職経験者61名の方がこのアピールに賛同(内46名が氏名公表可)を寄せています。

 わたしたちは、大阪の子どもたちの豊かな成長と学校教育を大きく歪める「チャレンジテスト」は、いったん中止し、再検討すべきだと考えています。同時に、今の「競争一辺倒」の受験制度の改善に向け、保護者、学校現場の教職員、教育研究者などの意見をもとに、豊かな学力と人間性を育む中等教育にふさわしい、高校入試制度の検討・改善を進めることが必要ではないでしょうか。

 以上の立場から、貴教育委員会に以下のことを強く要望します。

草々

1.不公平な高校入試をはじめ、子どもと教育に新たな「混乱」「困難」をもたらす、チャレンジテストは一旦中止し、再検討を行うこと。なお検討を進めるにあたっては、教育現場、保護者、教育研究者などの意見を踏まえ、豊かな学力と人間性を育む中等教育にふさわしい高校入試制度になるよう改善を図ること。

2.チャレンジテスト問題を含め、今の子どもと教育のあり方について、大阪退職教職員の会との率直な意見交換、懇談の場を持っていただくこと。

以上