「学校でソラダス」をとりくんで 結果報告

「学校でソラダス」をとりくんで

大阪教育文化センター・環境教育研究会 府立西野田工科高校
澤田 史郎

 5月19日に二酸化窒素(NO)府下一斉測定運動「ソラダス2016」が実施されました。30年近く実施されてきたこの運動は、大阪の大気汚染の実態を地域ごとに詳しく調査し、地域住民の健康実態との関係を明らかにするという成果を上げてきました。

府内の学校に測定参加を呼びかけ

 今年度の調査では同時にいくつか行われる自主測定運動の一つとして、府内の学校における大気汚染の実態を明らかにする目的で大阪教育文化センター・環境教育研究会と科学教育研究協議会大阪支部が共催して「学校でソラダス」を呼びかけました。その結果、大学1、高校26、中学校22、小学校34、支援学校1、個人団体2の86校から参加を頂きました。

測定地点と測定結果データ(PDFファイル)

測定地点と策定結果地図(PDFファイル) リンクを修正しました(9.24.)

測定結果と子どもの健康について考える契機に

 測定の結果は能勢や泉南の山沿いの学校では10ppb以下のところもありますが、平野部では周辺でも10~15ppb、堺や東大阪や豊中などの大阪市周辺では15~25ppb、大阪市内や渋滞の発生する幹線道路沿いでは30ppbを超えるところもありました。大きな値になったのは豊中市内の中央環状線沿いの50ppbや東大阪の中央環状線交差点の54ppbでした。

 現行の環境基準は「一日平均値が40~60ppb内またはそれ以下であること」となっています。今回の測定ではこの値を超えるところはなかったものの二酸化窒素による健康被害が出ないとして設定されていた旧環境基準20ppb以下は全体の半分以下です。学校近くの道路で測定したデータもありますが、大阪市内や幹線道路沿いの学校ではかなり高い値が出ています。

 文科省の学校保健調査では小中高それぞれで喘息の罹患率は40年前の2倍から4倍という高い状況が続いています。ソラダスの調査では二酸化窒素濃度(平均値)で2倍近い差がある大阪市内と周辺地域では喘息の罹患率が2倍になっていることはよく知られています。昨年、環境省は調査報告で、二酸化窒素の濃度と子どもの喘息の発症との強い相関関係があることを認めました。学校での測定運動はこういった子どもたちの健康についての認識を広げることに大きな意味があります。     

    ( ppb=1/109  ppm=1/106  1ppm=1000ppb )

測定に参加した生徒も高い関心

 今回の測定では20校近い学校で生徒の参加がありました。自分たちの学校がどのような環境にあるのか、二酸化窒素の測定の原理や健康への影響の質問が届いています。こういった探求活動を通じて自分たちの生活や環境に関心や知識を深めることは大切です。また多くの若い先生方に測定に参加してもらったこともこれからの環境教育を考える上で大切なことだと思っています。

「学校でソラダス」測定結果の報告学習会を開きます

12月23日(金・休)13:30~16:30
府教育会館(たかつガーデン)(上本町6丁目)

「学校でソラダス」の結果と環境教育の今後について考える報告学習会を次のように開きます。

 測定に参加された学校の皆さんはじめ、関心のある方の参加を広く呼びかけます。詳しい内容は今後案内します。

 なお、測定の結果の詳細は大阪教育文化センターのHPに測定データと地図を公開しています。