「大阪市廃止・分割」否決の住民投票の結果を心から歓迎します

大阪教育文化センターは、5月18日付で、以下の声明を発表しました

==========================

「大阪市廃止・分割」否決の住民投票の結果を心から歓迎します

―力をあわせて、大阪の教育を前進させましょう―

2015年5月18日 大阪教育文化センター事務局

 5月17日投開票でおこなわれた「大阪市廃止・分割」の是非を問う住民投票は、賛成694844票、反対705585票で、「大阪市廃止・分割」は否決され、大阪市が存続することとなりました。大阪教育文化センターは、この投票結果を心から歓迎するものです。

 この間の論戦をとおして、いくつかの重要な問題が明らかになりました。

明らかになった4つの重大問題

 第1は、「都構想」というが、大阪都にはならず、今回の住民投票は、大阪市をなくし5つの特別区にしてしまってよいのかどうかを問うものであるという事実が広く明らかにされました。

 第2は、大阪府と大阪市に二重行政はない、という事実も明らかになりました。橋下・維新の会が二重行政としてあげていた府立急性期・総合医療センターと住吉市民病院、大阪府立大学、市立大学などは、二重行政どころか、大阪市民にとってなくてはならない施設であること、最後に持ち出してきたWTCとりんくうタワービルは、バブル期のゼネコン奉仕の政策の誤りであり、二重行政ではないことが明らかになり、橋下・維新の会がいう「二重行政のムダをなくすための『都構想』」という根拠そのものが崩されました。

 第3に、この間の維新政治が府民いじめ、市民いじめであり、「大阪市廃止・分割」は、この維新政治をこれからも存続させることであることが明らかにされました。敬老パスは廃止しないといっていたのに有料化する、お年寄りの足として大切な役割を果たしていた赤バスを全廃する、新婚家庭への家賃補助を廃止する、などのお年寄りから若者までのいじめ政治の実態があらためて明らかにされました。

 第4に、橋下「教育改革」は、文字どおり子どもいじめであり、子どもを大事にしない政治を続けさせてはならないということが明らかにされました。

橋下「教育改革」ノーの審判

 大阪の教育にかかわって、橋下・維新の会は、大阪市の教育予算は、ここ4年間横ばいであるにもかかわらず「教育費を5倍、6倍にした」というデマまで使って、あたかも教育に力を入れてきたかのように見せかけてきました。

 しかし、実際は、橋下氏が大阪府知事であった3年9カ月の間に大阪府の教育予算を600億円も削減し、池田小学校事件を契機に学校に配置されていた学校警備員の予算を全廃したこと、府の独自配置の教職員も全廃し、教育条件を大幅に低下させてきたことが明らかにされました。

 その一方で、「教育は2万パーセント強制」という特異な考え方にたって、「強制と競争、管理の教育」をすすめてきた結果、大阪府の校内暴力発生件数は全国ワースト1、高校中退率、高校生の不登校率もワースト1、大阪市においては、橋下氏が市長になってから、小中学校の不登校率が約1.5倍に増加するという事態になっており、子どもたちが苦しめられている実態が明らかにされました。このもとで、「子どもたちは私たちの希望」「子どもたちを苦しめる政治に未来はない」という声が大きく広がりました。

大阪市を愛する共同の力の大きな前進

 特筆すべきは、このたたかいをとおして、これまでにない共同が広がったことです。政党では、「大阪市がつぶされようとしているときに自民党も共産党もない」と、自民党、民主党、公明党、共産党がそろって反対の声をあげました。大阪府医師会、歯科医師会、薬剤師会も反対、大阪市地域振興会、大阪市商店会総連盟も反対運動をすすめました。

 今回の「大阪市廃止・分割」反対の結果をつくりだしたのは、こうした共同の力の総和にほかなりません。

大阪の教育を前進させる共同を大いにすすめよう

 大阪教育文化センターは、この間、共同研究集会や機関誌『おおさかの子どもと教育』などで、橋下「教育改革」の持つ重大な問題点を告発するとともに、「はじめに子どもありき」の立場に立った教育活動こそが、それとの対抗軸であることを積極的に発信してきました。大阪教育文化センターは、この住民投票の結果をふまえ、大阪の子どもと教育を守る共同の一翼を担い、教育現場と研究者、父母・府民、市民と結び、いっそうとりくみを強化するものです。