行政調査で学校を縛ることの是非

 大阪大学大学院の小野田教授が、教育専門紙「内外教育」2016年12月16日付けに「中学校生活を支配するチャレンジテスト・大阪」と題する文章を寄せています。

 小野田教授は、その文章の中で、学力テスト裁判最高裁大法廷判決(1976年5月21日)を引用し、行政調査には歯止めがあり、教育活動とは区別されるべきとの判決が確定していることを紹介しています。

小野田教授の学力テスト裁判最高裁大法廷判決(1976年5月21日)の引用部分を紹介します。

 学力調査(※学テ)としての試験は、あくまでも全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するためにされるものであって、教育活動としての試験(※中間や期末考査)の場合のように、個々の生徒に対する教育の一環としての成績評価のためにされるものではなく、両者の間には、その趣旨と性格において明らかに区別があるのである。それ故、本件学力調査が生徒に対する試験という方法で行われたことの故をもって、これを行政調査というよりはむしろ固有の教育活動としての性格をもつものと解し、したがって地教行法54条2項にいう調査には含まれないとすることは、相当でない。もっとも、行政調査といえども、無制限に許されるものではなく、許された目的のために必要とされる範囲において、その方法につき法的な制約が存する場合にはその制約の下で、行われなければならず、これに違反するときは、違法となることを免れない

(※注や下線は小野田教授)

教育委員会が実施主体となる調査は「行政調査」であって、学校教育活動とは区別されるべきものと小野田教授は指摘している。

小野田教授は最後に次のように、とどめのを刺している。

 また、「公平性」を謳うが、国立中学3校と私学64校(中3生で1割強)には適用されない。


 小野田正利教授が執筆している連載「普通の教師が生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」シリーズの258回目。教育専門誌「内外教育」は時事通信社が週2回発行する新聞です。教育委員会や管理職テスト受験者に読まれています。