両性の平等教育研究会実践集 1 を発行しました

両性の平等教育研究会実践集 1

内容

  • 両性の平等教育研究会実践冊子作成にあたって
  • 住友男女賃金差別裁判から憲法を学ぶ
  • M字カーブ
  • 命を大切にする授業から「こうのとりのゆりかご」
  • 子どもの権利条約の実践

2014_09_ryousei_jisensyu

両性の平等教育研究会 実践冊子作成にあたって

 「両性の平等教育って…?」と思われる方もいらっしゃると思います。

 研究会は教文センター発足以来、次のような目的で研究会を継続してきました。

○誰もが人間らしく豊かに成長・発達する力をつける。

  • ジェンダー平等などの人権感覚を養う。
  • 「子どもの権利条約」「女子差別撤廃条約」を活かす。

を柱にした教育実践をすすめる。

 また、上記の実践をすすめるため、誰もがいきいきと働き続けることができる社会や、教育現場を作っていくことなど「男女共同参画」の現状や行政のとりくみや運動など幅広く研究交流してきました。

 具体的には、国語、社会、家庭科、生活科、性教育、学級指導、生徒会活動などの実践を取り上げてきました。

 例えば「家族」というテーマ一つを見ても、生活科や小学校家庭科の中にも家事労働を扱っています。うっかりするとお父さんの仕事、お母さんの仕事、子どもたちの手伝いと固定的に見てしまいがちですが、家族が気持ちよく生活できるためにさまざまな家事があることや、家族の一員として自分ができることをする。また、家庭によってその役割分担が異なることに気付き、色々な家族構成があるということを知るという視点を大切にしてきました。

 中・高校の社会科で家族を学ぶとき結婚や離婚一人暮らし夫婦別姓子育てなどのことを憲法やさまざまな法律を学ぶなかでとりあげ、授業を展開するときに単なる法律説明でなく、男女平等や互いの人権を認め合う関係、それに関わる行政のあり方にも目を向けて進めてきました。

 このように教材を扱うときにジェンダー視点へのこだわりが「ジェンダー平等の感覚」を育てると考えています。

「 女子差別撤廃条約」を日本政府は批准しています。これを一つの力にして、住友関連企業で働いていた女性たちは「男女賃金差別」是正を裁判で闘いました。日本政府や企業の状況を国連に訴えに行き国際的な世論と多くの女性たちの支援で裁判に勝利しました。

 この女性たちから「学校で、さまざまな法律や国連のこと裁判のことなど教えて欲しかった」と言われ、その声を聞いた私たちは、あらためて教材のとりあげ方、授業の進め方の見直しを突きつけられたように思います。「社会に出たとき学んだ力で人生が切り開かれる。学んだことが役立つそんな授業が必要なんだ」と話し合いました。

 教材のとりあげ方、授業の進め方に「ジェンダーの視点」を当ててみる。それが「両性の平等教育」でないかと考えています。

 教文センター「両性の平等教育研究会」から学校でジェンダー平等感覚を育てる実践が広がることを願い、今回は住友裁判や働くことなどをとりあげた高校社会科の授業と小学校「子どもの権利条約」の実践を紹介します。